偵探與高田

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札幌在住の気鋭ミステリー作家・東直己の“ススキノ探偵シリーズ”を映画化した『探偵はBARにいる』は、大泉洋が演じるハードボイルドな探偵と、松田龍平が演じるグータラだが、いざという時には頼りになる相棒が、事件を捜査する物語である。この映画の魅力は、何と言っても珍妙な二人の掛け合いであろう。今回は、そんな主演二人に作品について話を聞いてみた。

 

――大泉さんと、松田さん、お互いに最初に抱いていたイメージはいかがでしたか?また、撮影を重ねて印象が変わったというところはありますか?
大泉洋(以下、大泉):疲れないうちに彼に語らせて下さい。すぐ疲れてきますから(笑)


松田龍平(以下、松田):大泉さんが、たくさん話してくれるから、いつも安心しています。


大泉:2人のインタビュー取材では、だいたい僕がしゃべるから、自分が楽になるので「大泉さんがいた方がいいな」って言ってるらしいな。


松田:(笑)。それで、何でしたっけ?


大泉:ちゃんと聞いとけよ!


――大泉さんにお会いする前と後では印象が変わったことがありますか?
松田:面白い方なんだろうなと思っていましたが、実際に会ったらやっぱり面白い方でした。撮影の後、ご飯を食べに行った時に「本当に猫が嫌い」と言っていて…。僕は、猫が好きだから、どうにかならないかなと思ったんですけど、「断固として猫が嫌い」と。こんなに猫が嫌いな人を初めて見たから、すごく変わっているなと思いましたね。


大泉:…いろんな話をした中で、まさかそんな話が印象に残っているとは思いませんでしたね。


松田:それが一番印象に残ってますよ(笑)


――撮影に入ってからも、面白さは増していきましたか?
松田:自分のことだけじゃなくて、周りが見えている人なので、現場全体の空気がすごく楽しい雰囲気になっていましたね。


――大泉さんは、松田さんの印象についていかがですか?
大泉:明らかに、僕にはない不思議な空気感を持っている方なので、面白かったです。トークのペースから何から何まで僕より絶対にゆっくりだからね。これぐらいのゆっくりした、生き方もいいかもと思いました。多分、僕は生涯で彼の一生分の100倍くらいはしゃべると思うんだけど、これくらいのしゃべりでいいのか、俺は何を焦ってしゃべっていたんだろうと(笑)。人生、そこまでしゃべらなくてもいいじゃないか、だって龍平君はこんなにちょっとでこんなに面白いんだからと思いました。


――普段も良い関係を作れているようなので、映画の中での探偵と高田の関係性も作りやすかったですか?
大泉:そうですね。台本を読んでいた時は、いまいち“高田”って人が想像つかなかったんですよ。掴みどころのない役でしたから、龍平くんが高田に決まっても、どうやって演じるのかなって分からなくて…。でも、龍平くんがセリフをポンッと言った瞬間に、ぶわーっと“高田”という人が見えてきたのが、ありがたかったですね。


――本作に出演を決めた理由は何ですか?
大泉:子供の頃に、普通に刑事ごっことか探偵ごっこをやっていたし、小中高の頃は、TVで探偵ものが多かったので、探偵に憧れはありました。なのでマネージャーから「探偵ですよ」と聞いた時は、それだけで「おお、やりたい!」っていうのはありました。舞台が札幌というのも魅力的でした。さらに、僕らは『ルパン三世』世代だったから、気がおけない相棒がいることにも憧れがありますからね。そういった意味でも高田みたいな男がいるというのも好きな世界観でしたね。


――松田さんはいかがですか?
松田:一見、ストーリーが複雑そうに見えますが、ごくシンプル。それで良い話だなと思いましたし、大泉さんが出ているから一緒にやってみたいという気持ちもあったし、北海道でロケをしてみたいな、というのもありましたね。小さい頃に一度来たきりで、北海道にゆっくり来たことがなかったですし


大泉:旅行気分だったのか!


松田:(笑)


――おいしいことを食べることは、全て達成されましたか?
松田:そうですね、お陰様で。


大泉:いやあ、おいしい店は全部紹介しましたよ。ジンギスカンだ、ラーメンだ、スープカレーだ、とかは大体行ったんじゃないですか?長くいたからね。龍平くんは、俺よりも長くいたもんね。僕は、途中東京とかで仕事があって何回か往復したんですけど、この人はいましたね。3日撮影がなかった時でも帰らなかったからね。「え、ずっといたの?龍平くん」「いましたよ」って言って(笑)。1回帰ればいいのにと思ったけど。


松田:北海道って居心地が良いんですよね(笑)


大泉:札幌で試写を観た僕らの仲間が、「観終わった後に飲みたくなる」と言いましたけど、やっぱり札幌で観るのが1番良いですよね。観て、そのまま、すすきのに流れる。今だったら札幌駅からすすきのまで全部地下で行けるんですよ。札幌は雪も降るし、寒いから、外に出なくても良いっていうすごい空間が出来たんです。是非すすきの巡りをして頂ければと。


――そう言えば、大泉さんは北海道出身ですね。そんな大泉さんから、松田さんは何か北海道での撮影のコツなどを教わりましたか?
松田:雪の怖さを知っているんでしょうね。僕が車を運転するシーンの時は、助手席から「雪は怖いから!本当に滑るんだよ」と言ってましたね。うるさいなぁ…と思いましたけど(笑)、いろいろ教えてもらいましたよ。


大泉:明らかに僕からの忠告に「うるさいな」という感じを出してきてはいるんですよ。「とりあえず、ちょっと自分のやりたいようにやらせてくれ」という感じで、全く僕の忠告を無視した運転をしていましたよね。


松田:ダメだったら2回目から・・・


大泉:「直しますから、1回やらせて下さい」と。滑る道をありえないスピードで走って「ああ、本当に滑りますねー」とさらっとした感じでおっしゃって笑っていましたけど(苦笑)


松田:すごく滑って面白かったですけどね(笑)


大泉:本人はちょっとドリフト気分で運転していましたけどね。僕は正直「危ないって!」という感じでしたね。


――アクション監督の諸鍛冶さんから「スタントマンを立てずに、ほとんど自分たちでやらせてしまって申し訳なかった」というコメントを頂いています。アクションシーンの撮影についてのエピソードを教えてください。
松田:特に大変だったのは、則天道場のシーンでの殺陣かな。雪だし、屋根に登ったりしなきゃいけなくて。それに、ワイヤーも何もついていないのに、屋根のぎりぎり縁で飛び蹴りして欲しいとか…。プレッシャーはすごかったですね。


大泉:台本読んだ時に「出来るのか? 『007』じゃないんだから!」って思いながら読んだんだけど、割とその通り忠実に撮ったよね(笑)。


――則天道場で闘うシーンは、屋根から人がたくさん落ちていましたよね。
大泉:マットがないところにスタントの人たちが落ちていったね。しかも、新雪じゃなく、明らかに固められた堅いところに落ちてて。「大丈夫なんですか?」って聞いたら、笑って「大丈夫、大丈夫!」って。ツバ吐いたら血が混じっているのに、ゲラゲラ笑っている。スタントの人たちって、辛いシーン程、笑ってるもんな。


――スタントマンの方を心配するなんて、大泉さんは、すごくスタッフを気遣っていらっしゃるのですね。
大泉:そりゃ気遣いますよ。結局、僕らが殴ったりすることよりも、それを受ける人がどれだけ上手に受けるかによって見え方が全然違うから。「ありがとう」という感謝の気持ちでいっぱいです。


――松田さんが運転するスノーモービルに乗って逃げるシーンのアクションもすごかったですね。
大泉:ジャンプしてるしね!


松田:映像では割と普通に見えるけど、スノーモービルでジャンプって結構大変なんですよ。こんな重い車体が浮くってね。


大泉:すごく重たいんですよ、本当に。撮影の合間に遊びで乗せてもらったけど、こんなに舵が効かないのかとびっくりでした。それで、ジャンプしていた龍平くんは、きっと怖かったんだろうなと思いました。


松田:大泉さんは、体感する前までは「もうちょっと真っ直ぐ走れないもんかね」とか後ろから散々言ってましたね(笑)


――乗ってみて運転の難しさが分かりましたか?
大泉:乗ってみて、分かった。あんな危ないものに、しかも素人の運転で僕は乗っていたのかと思ってさらにゾッとしました。しかもジャンプしていたのか!と思って(笑)


――話はかわりますが、劇中では、現代とは違うハードボイルド的恋模様がありますが、「これが女性とのハードボイルドな接し方だ!」というものはありますか?
松田:聞きたいですね。


大泉:いや、君も語りなさいよ。


松田:(笑)。大泉さんは知っていそうな気がしますね。


大泉:この映画は、すごくハードボイルドな感じがして、探偵と言えばやっぱり「恋」だと思いました。この映画の前に、札幌の探偵事務所に入門するっていうバラエティの企画がありまして、その時に、「探偵にとって大事なことは何か?」と聞かれました。そこで、「もちろんそれは依頼人と恋に落ちないことでしょう」と言ったら、「全く違いますね」って(笑)。「依頼人と恋に落ちることなんて考えたこともない」と言われて。僕がイメージする探偵と違うと思って「じゃあ何が1番大事なことなんですか?」と聞いたら「法律を遵守することです」と。「なんだ、そんなつまらない!」と思いました(笑)。本当の探偵は、もっと普通で危ない目に遭ったこともないらしいです。


――実際、「探偵」と「恋」はそんなに関係ないんですね。
大泉:探偵と言えば依頼人と恋に落ちると思っていたんだけど、そうじゃなかったみたいで(笑)。えっと、それで、何聞かれていたんだっけ?


――「これが女性とのハードボイルドな接し方だ!」ということなのですが(笑)
大泉:やっぱりハードボイルド的な恋といえば、洒落たバーで飲んでいて、美味しいお酒を飲んでいるところに「お隣いいかしら?」と聞いて座ってきたイイ女がいて「なんだ?コイツは?」と。その女と乾杯したことは覚えているけど、次起きたら煙たい朝で、飲み疲れていてその女との記憶がない。朝起きたら特にそいつがいる訳でもないんだけど、飲みすぎて頭が痛い。頭を抱えながら洗面所に行ってみたらルージュで「素敵な夜をありがとう」と伝言が書かれていて、そこからその男の日常が一変してしまう、みたいな。誰かにつけられている的なね。それこそやっぱりハードボイルドだと。長くなりましたけど、書ける範囲で書いてちょうだい。僕のイメージする探偵ですよ。
※上記、大泉さんのコメントを「そのまま全部」書きました。



松田:大泉さんがイメージする探偵は、今回の探偵と近いですね。


大泉:僕のイメージする…そうかもしれないね。恋とかね。


――松田さんはいかがですか?ハードボイルド的な出来事がプライベートであったりしませんでしたか?
松田:……ないですねぇ。


大泉:お前、それで乗り切れると思ってんのか!俺がこんだけしゃべっているのに。


――小雪さんが演じる「沙織」の様な女性との恋はいかがですか?
松田:僕は、1回ぐらいしか撮影で一緒にならなかったんですよね。クラブで会うシーンの時だけですけど、素敵な女優さんだな、と思いましたね。


――沙織のいるクラブに二人が怒鳴り込むシーンですね。恋に落ちそうでしたか?
松田:ずっと一緒だったので、どぎまぎしていましたね。ちょっと華やかな場所だったし。でも、華やかなところに行ったことがない高田の気持ちに通じる部分があったから、その気持ちそのままでやりましたね。


大泉:あの時の高田はちょっと高揚感があるんですよ。


松田:「金払えねえぞ」とか。


大泉:そうだよね、言ってたよね(笑)。なんかセリフにないことボソボソ言ってた。


松田:言ってましたね(笑)


大泉:「俺は払えないぞ、ここは」「大丈夫か?」とかボソボソ言って…。あそこのシーンは、僕が怒り心頭で行っているところでしょ?


松田:そうですね。僕は割と楽しんでて(笑)


大泉:僕は沙織がものすごく悪い女だっていうのが分かって「この野郎!」と思って乗り込んでいるから、怒っているんだけど、その横で「すげーな」とかぶつぶつ言ってるのよ。「金払えねえぞ」とか。この温度差がまたおかしいよね(笑)。


――微妙に温度差があるところもありますが、BARに何ということもなく二人集まってお酒を飲んで…、探偵と高田は男子にとって憧れの関係ではあるかもしれないですね。
大泉:この映画は、男が憧れるものが詰まっていますよね。たぶん原作者の東さんも自分の憧れというか、こういう雰囲気って良いよねって言いながら原作を書いているだろうし、その原作を今回映画にしようと思っているのもプロデューサーも監督も男だし、男の憧れみたいなものが詰まっている気がする。探偵と高田はあまりベタベタしている関係ではないし。高田には、普通にお金払っているからね(笑)。バイトとして雇っている関係ではあるんだけど、やっぱり何か繋がっているものがあって、そういう関係って憧れますよね。


 作品の中だけではなく、プライベートでも名(迷?)コンビとなった大泉洋と松田龍平。脱線しまくりのインタビュー取材に記者一同も笑いっぱなし。終始なごやなか雰囲気だった。本作のマスコミ試写会は、立ち見が出る程で大泉も「お金を取れば良かった」と冗談を言う程の反響ぶりだった。映画『探偵はBARにいる』は、9月10日から全国ロードショーとなる。

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來源:http://news.livedoor.com/article/detail/5788260/?p=1

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